| 『旅人』 |
あるところに 旅人がいました。 どこから来て どこへ行くのでしょうか?
空は 高く そこにあり 風に 花が ゆれています。 |
| その時 どこからか 一本の矢が飛んできて 旅人のからだに当たり刺さりました。 |
旅人のからだに 旅人のからだに はげしい痛みが はげしい痛みが 走り続けます 走り続けます。
しかし 旅人は そのまま なにやら 考えこんでいます。 |
すると 鳥が一羽飛んできて こう言いました。
「旅人よ それは毒矢であるから 一刻も早く抜いて 手当てをしなさい。まだ 間に合うよ」
しかし 旅人は これを聞き入れず
「この矢を射た者は 隣国の者だろうか? それとも 遠い遠い国の者だろうか?」と考えています。
鳥はあきれて飛び去って行きました。 |
旅人は おおきなヘビに出会いました。
おおきなヘビは 舌を出したり 引っ込めながら こう言いました。
「おい お前さん その矢を早く抜かないと 俺様が噛み付くまでもなく 死んでしまうぞ」
すると 旅人は「この矢を射たのは 男なのか? 女なのか? どちらなのだろう?」と考えています。
おおきなヘビはあきれてはなれて行きました。 |
旅人は 背の高いキリンに出会いました。
キリンは 旅人に「おい 早くその矢を抜きなさい」と心配して言ってくれました。
しかし 旅人は「この矢を射たのは もしかしたら ケンカをしたことのある あいつ ではないか?」
と考えています。
キリンは そう聞くとゆっくり歩き去って行きました。 |
旅人は おおきなカメに出会いました。
おおきなカメは 旅人に「その矢を早く抜いたらどうだい?」と言いました。
しかし 旅人は「この矢を射た者の 年はいくつだろう? 十、二十、三十……、五十、六十、七十……?」
と考えています。
おおきなカメは それを聞くと かわいそうに思いながらも ゆっくり ゆっくり歩いて去って行きました。 |
旅人は 勇ましいライオンに出会いました。
ライオンは 旅人に「おい おい その矢を早く抜いたらどうだ。何をしているのだ」と怒りました。
けれども 旅人は「この矢を射た者の肌は 白いのか? 黒いのか? 黄色いのか? 青いのか?
赤いのか? ……?」と考えてばかりいます。
ライオンは がっかりして離れて行きました。 |
旅人は おおきな象に出会いました。
象は 旅人に「早くその矢を抜いたらどうだい?」と言いました。
しかし 旅人は「この矢を射たのは あの宗教の者だろうか? この宗教の者だろうか?」
と考えてばかりいます。
象は がっかりして歩き去って行きました。 |
そんな旅人でしたが いよいよ毒矢による痛みは はげしくなり おそろしさの中で
「ああ 死にたくない 死にたくない ……死んだら いったいどうなるのだろう?」
と つぶやき 涙を流しました。 |
そして とうとう 旅人は 息をひきとり 死んでしまいました。
空は 高く そこにあり 風に 花が ゆれていました。 |
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(著者略歴)
渡部 哲也 (わたなべ てつや)
1968(昭43)年、東京都生まれ。
平成8年から秋田市に移り住み、絵や詩の創作を続けている。
院長とは従兄弟。 |
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〜人は平和を願いながら、なぜ争いを続けるのだろう?
美しい自然を愛しながら、なぜ地球を汚し続けるのだろう?
そして命・健康の尊さを知って欲しい〜
どうか、皆様の日々が楽しく幸せでありますように。
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