頚椎捻挫　広義には頚椎症に含まれる。

むち打ち症は頚椎捻挫の中の一つで、頚部の骨や椎間板には損傷がなくて周囲の神経・筋肉・靱帯に原因があるものをいいます。

　むち打ち症になった直後は、ショックにより感覚が鈍くなっていて痛みをあまり感じません。

　その後しばらく時間をおいて（数日以内に）寝違えたような症状が出てきます。具体的には首の後ろの筋肉が硬直して可動範囲が減り、上を向くと首の後ろに痛みが走ります。

　症状が重いと、首や肩の周囲が炎症してやや熱を持ち、ズキズキと後頭部や胸などが痛んだり、首・肩にこりや痛みが出てきたり、腕や手指に痛みやしびれが起こったり、めまいや吐き気が起こったりします。

　症状が軽い場合は、しばらく（２〜３週間）安静にしていると治りますが、症状が重い場合には一旦治まっても、同じ症状が繰り返し起こります。

　また、この状態が続くと頚部などの筋肉が落ち、血行も悪化して、症状が慢性化してしまいます。

　むち打ち症はほとんどが交通事故によって起こります。自動車に乗っていて後ろの自動車に追突された時や、歩行時に自転車やオートバイに衝突された時などに、頚部に強い衝撃を受けて発症します。自分で転倒したり、スポーツなどで急激に首を動かしたりしてなることもあります。

　むち打ち症以外の頚椎捻挫は、高い所へ荷物を上げ下ろししたり、上を見上げながら細かい作業を繰り返したり、同じ姿勢のままパソコンを長時間見続けたり、重い本を持って下を向くようにして読んだりといった事を、長く日常の仕事としている人に多く発症します。（症状はむち打ち症と似ていますが、時間をかけて徐々に発症します。）
　

　脊柱の中の第１から第７番目の椎骨を頚椎といいますが、（詳しくは『腰椎についての基礎知識　�@まずは背骨の構造を知ろう』を参照）それぞれの椎骨の間からは主に肩・腕・手・指先へと走る神経が出ていて、これらの神経を硬直した筋肉や靱帯が圧迫したり、神経そのものが損傷したりすると、その神経の支配域の部分に痛みやしびれなどが起こります。

　当院では特殊な手技治療で、まず首・肩の筋肉の損傷や硬直を治して柔軟性を回復させます。これにより神経への圧迫をなくし、神経の働きや血行を正常に戻します。次に手技治療にリハビリを交えて、神経の損傷・感覚異常を回復させます。

　症状が重い場合は最善を尽くしても治療期間は半年くらいかかります。これは末梢神経が完全に損傷した時は、再生するのに最低でも半年かかるためです。

　一般的な頚椎捻挫の保存療法では、頚部を固定したり、麻酔の注射をしたり、牽引したり、温めたり湿布したりして様子を見ることが多いと思います。しかしこれらの治療法は、症状が軽い場合には回復することもありますが、症状が重い場合には根本的に治すことは出来ず、加療し続けてもだんだん慢性化してしまいます。慢性化すると、普段はやや治まっているように思えても、首を動かした時や気温が低い時などに頻繁に痛みやしびれが再発してしまいます。

　この理由は二つあります。一つは、症状が重い時には頚部の筋肉がただ緊張しているだけではなく、筋肉の繊維同士が癒着（くっつく事）して固まっているので、筋肉の繊維同士が自由に動けず、無理して動かすと通常より簡単に損傷してしまうことです。もう一つは、神経の損傷による感覚異常は、単に神経の再生を待っても回復しないので、中枢（脳）と抹消（伝達先）の神経の正常な情報交換を確立してあげる必要があることです。

　当院にはこれらを手技だけで、機械も薬も使わずに、副作用なく極めて高い確率で改善していける技術と、有効なリハビリの知識があります。当院で十分な治療をすれば、首の痛みやしびれは持続的になくなり、再発もほとんどしません。まれに症状が現れても軽い痛みですぐに回復します。（ただし極端に重症の場合は多少後遺症が残ってしまう場合があります。この場合でも一般の治療よりはかなり改善させられます。）つらい頚椎捻挫でお悩みの方は是非一度お試し頂きたいと思います。症状が重い場合でも、じっくり治療を行ううちに確実な歩みで改善していくのがお分かり頂けるはずです。